2014年02月16日

『進撃の巨人』第54話「反撃の場所」リヴァイ、リーブスにネゴる






 [別冊少年マガジン2014年3月号ネタバレです]
 調査兵団の反撃は中央憲兵の手先となっているリーブス商会を抱き込むことから始まった。エレンとクリスタを囮にして、2人を攫わせた。手先となっている者がリーブス商会であることはあらかじめ知っていたようで、リーブス商会からその親玉である中央憲兵をおびき出すことにしたのである。

  リヴァイ班の隠れ家を襲ったのもリーブス商会だった。どうやらリヴァイはトロスト区周辺で中央憲兵の手先となっているものが、リーブス商会だったことを知っていたらしい。第53話「信じるバカ」で隠れ家を抜け出した後、アルミンに

兵長…あいつらが中央憲兵ですか?

と聞かれると、

さぁな 奴らが直接こんな現場に
出向くとは思えんが…

と返事をする。隠れ家を包囲したのが中央憲兵の手先だったと知っていたようなリヴァイの口ぶりだ。もし知らなかったとしたら、おそらく「わからん」と正直に答えたのではないか。リヴァイが過去に中央憲兵と関わりがあったことを示唆するものはないので、最初からリーブス商会が手先に使われていることは承知だったのだろう。

 捕まえたリーブス商会の会長は、トロスト区の前門の壁上に連れて行かれる。このときリヴァイは会長の名前を呼ぶ。

俺は今あんたと…
ディモ・リーブスと話をしている
あんたの生き方を聞いているんだ。
あんたはどんな奴だ?


 リヴァイが捕まえたのがリーブス商会の会長であることははっきりしているにしても、会長の名前を知っていたのは、最初から手先がリーブス商会であることを知っていた可能性が強い。リヴァイはウォール・シーナの地下都市にいたのち、調査兵団で巨人の討伐に関わっていたので、トロスト区内の独占的商人の会長の名前を知る必要はない。

 リヴァイがリーブス商会を抱き込もうとしたのは、エルヴィンの指示ではないと思われる。第53話「信じるバカ」でリヴァイが燃やした指示書には反撃のターゲットは書かれていたにしても、具体的にどうするのかという戦術的な内容は含まれてないと思われる。あるいは含まれていても、それを班員には見せなかったのだろう。

 また、中央憲兵の手先についてはハンジと擦り合わせをしていた思う方が自然だ。ハンジから情報でトロスト区のリーブス商会が手先であることを知ったにだろう。そうなると、会長の名前が「ディモ・リーブス」であることは調査済みということになる。

 エルヴィンの指示は、王政を打破するというクデーターの指示書でなければ、リヴァイがその場で燃やさなければならない理由は希薄だろう。中央憲兵を締め上げ、その背後にいる権力者を吐かせ、王都にいる黒幕をどのようにしてあぶり出すのかの具体的な方法は、リヴァイとハンジに任されていたと思われる。

 リヴァイはディモ・リーブスの足下を見て、王政に切り捨てられつつあるリーブス商会を救うことで抱き込みを計る。ただしディモ・リーブスは何も信用しない。商売は信用によって成り立つが、この世界では信用はお人好しの代名詞でしかないらしい。おそらく商人と言っても自由経済ではなく、統制的な経済構造の中では利権こそが全てだからである。利権を失えば、商売もまた失われるからだ。

 そこでリヴァイはリーブス商会に3つの条件を示す。最初の2つは

調査兵団のクーデターの参加
調査兵団への信用(忠誠と言い換えてもいい)


というトンでもないものだが、この時点でリーブス商会はリヴァイの提案に耳を傾けるしか道がなくなっていることをディモ・リーブスに確認させる。そして最後に利で釣る。突拍子もない提案に縋るしかないディモ・リーブスは仕方なく

条件をすべて聞かずに
契約するバカがいるか


とリヴァイに問いただす。リヴァイが提案した最後の条件は平たく言うと

リーブス商会の商品は調査兵団が買いとる

ということである。リーブスは許諾した。リヴァイは利を喰わせることで、リーブス商会を逃げられないようにしたわけである。

 これでリーブス商会は調査兵団の末端組織に組み込まれた。リーブス商会はたとえ王政から商品の販売先を切られても、その分は調査兵団が買い取ることを保証したのである。なにしろ調査兵団は兵員が少ない割には大きな予算を持っているので、リーブス商会の食い扶持くらいはまったく負担にならないのではないか。そうすることで、リーブス商会だけでなく、廃墟化の進むトロスト区も生き延びることは可能になる。

 ディモ・リーブスはリヴァイに

あんた商人より欲が深い
気に入ったよ


と言って握手を求める。ディモ・リーブスは調査兵団にリーブス商会に売り渡した。もっとも利で転ぶディモ・リーブスはまたどこかで調査兵団を裏切るかもしれない。とはいえ彼もまた後戻りできないことを噛み締めていくことになる。

140516-01.jpg

 なお、リヴァイが最後の条件を示した後、サシャが

すばらしい条件じゃないですか会長

と叫ぶが、サシャがリヴァイの交渉を理解していたとは到底思えない。彼女はリーブス商会の持つ嗜好品を口に出来る可能性に喜びを見いだして叫んだだけだろう。

 
posted by じん at 19:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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